石と賢治のミュージアム4 -推奨した稲-
「注文の多い料理店」の序文にこう書かれています。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月明かりからもらってきたのです。
ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。
と書かれています。
そんな宮沢賢治が見ていた岩手県という風土を一緒に共感したいという思いでこのブログを進めていこうと思います。
岩手県では、冷害という被害があり稲が育ちにくい環境でした。そこで、宮沢賢治が推奨した稲がありました。
陸羽132号といって、冷害に強い日本初の人工交配による優良水稲です。
この稲が東北の農業を支える事になります。
ただ欠点があり、他の稲に比べて茎が長いようです。この欠点のせいで、強い風が吹くと簡単に折れてしまう危険がありました。
この稲を提唱した宮沢賢治を思うと、「雨ニモマケズ」は、この稲に対しての祈りのように思えてきます。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩