— ラガード研究所-資料室-

四人目の星の先生 河村聡人(Akito D. Kawamura)さんのご紹介です。

20130202-05
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京都大学大学院理学研究科
宇宙物理学教室 花山天文台
博士後期課程 河村 聡人(Akito D. Kawamura)
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2月1日から3月末まで、Lagado研究所にて宇宙物理学の修士論文を展示して頂いている河村さんについてのご紹介です。河村さんとの出会いは、三人目の星の先生である玉澤春史さんからご紹介頂けました。

河村さんは、日本ではわずか数人しかいない「太陽圏」という領域を研究されているのだそうです。
太陽圏とは、「太陽風の届く範囲の空間」と書いてありました。
太陽風(たいようふう)とは、太陽から吹き出す極めて高温で電離した粒子(プラズマ)のこと。その先は、私自身よく分かりません。

太陽圏については、
「ボイジャー1号太陽圏脱出か?」というニュースが1年半ほど前に話題になった事をご存知の方も多いかもしれません。

太陽圏という範囲がどこの範囲を指しているかと言うと、
私たちが聞き慣れている「太陽系」とは、太陽の重力の影響が及ぶ範囲の事で、
「太陽圏」とは、太陽風の届く範囲という事で、

範囲で言えば「太陽圏」<「太陽系」
オールトの雲よりは手前の距離にあります。

今回の論文展は、研究者が探求してる、私たち一般の方には理解出来ず想像もつかいない領域を、
わからないままの状態で、楽しんでしまおうという試みです。
論文の順番も説明も特にございません。全体を見て何かを感じて頂けたら嬉しいです。
20130202-03

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20130202-02

「(写真提供:NASA/JPL-Caltech)」

ボイジャー1号は1977年9月5日に打ち上げられ、2014年現在も運用されている。同機は地球から最も遠い距離に到達した人工物体となっており、太陽の影響圏から広大な星間空間へと遷移する空間を飛行している。
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それでは、恒例の5つの質問を星の先生河村さんに投げかけました。

5つの質問
1.星に興味を持ったきっかけを教えてください。
2001年の獅子座流星群と学部生時代の観測会かと思います。流星群の時は夜、眠
た眼ながらたくさんの流れ星を見た記憶があります。ですがより直接的なきっか
けは観測会です。仲間達とわいわいガヤガヤと望遠鏡にたむろして星を見る様に
なってから、流星群の個人的な観測もするようになりました。

2.今は、どのような星に関する活動をされていますか?
研究者のはしくれとしては太陽の勉強をしています。最近は主に紙の上の仕事研
究ですが、近々コンピュータでのシミュレーションも再開させたいです。

あと、太陽「圏」の普及・広報活動です。昨年ボイジャー1号が太陽圏を脱出し
たというニュースがありましたが、太陽重力系(所謂オールトの雲)との勘違い
が多かったです。前の所属研究所にて太陽圏の研究をしていた身としては無視で
きない低認知度なので、正しい太陽圏の知識を広めていきたいです。

3.今一番興味のある宇宙のトピックを教えてください。
次の太陽周期です。今の太陽周期では黒点数が非常に少ないですが、この傾向が
次の周期でどうなるのか?活動が更に弱まるとしたら新たな小氷河期の可能性も
あるが、どうなのか?今後十数年の気候を予測する上でも重要な事です。

4.Lagado研究所の授業はどのようにしていきたいですか?
今回の試みは僕の修士論文を読み物としてではなく、展示物としてどう受け取ら
れるのか、かなり実験的な挑戦だと思います。科学をどう伝えるかではなく、た
だ存在するだけで何か伝わるのか?何か新しいものが生まれるのか?皆様の感性
を交換しあえるきっかけになれば幸いです。

5.来てくれるお客様へ一言お願いします。
科学ではなく、展示作品としてお楽しみ下さい。
そして運良くお会いできれば、ご感想をお聞かせください。

 

2月1日から3月末まで

河村聡人 宇宙物理学修士論文展

(共同企画)玉澤春史(京都大学理学研究科附属天文台博士後期課程)、 淡嶋健仁(骨董屋Lagado研究所)
問い合わせ先:玉澤春史 (tamazawa@kwasan.kyoto-u.ac.jp)

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